依存症は当初薬物、アルコール依存症をかわきりに知られ始め、依存をするその対象は多岐にわたり、多種多様になってきました。近年注目されているのは、インターネットに対する依存であるネット依存が注目され、2018年の国際疾病分類(ICDー11)に依存症として載せられることになりました。

またDSM-5 では、「インターネットゲーム障害」に対しても、“dependence(依存)”という用語は使われておらず、“addiction(アディクション)”という用語によって説明されています。

アディクションは「嗜癖」と訳され、特定の物質摂取、習慣、行動などが過剰となり、それらを渇望してコントロールするのが困難になった状態を意味しています。ここにある依存症は別名、嗜癖(アディクション)と言われるものです。

現在、依存症の対象としては大きく

①「物質」

②「行為(プロセス)」

③「人間関係」

に分けられます。

3つに分類される依存症の対象に関して、具体的に何に対する依存(嗜癖)があるかを下記に簡単にまとめてみました。

物質への依存

物質依存の筆頭となるのがアルコール依存症であり、以前は主に「アルコール中毒」略して「アル中」などと依存症者を呼んでいました。高度経済成長とともにアルコール依存症者が増加して、依存症が注目される所以ともなりました。そのために依存症治療の基本といえばアルコール依存症の治療過程が用いられています。

アルコール依存症(酒)

薬物依存症(覚せい剤・コカイン・大麻・シンナー・危険ドラッグ等)

(処方薬・市販薬)

ニコチン依存症(たばこ)

カフェイン(コーヒー・紅茶)

食べ物(スイーツなど)

アルコール依存症

酒を飲みたくて仕方ないという欲求がいつも頭から離れなくなります。身体的にも酒に対する耐性ができて、以前より多くの酒を飲まないと酔えなくなり、長期間にわたり大量の酒を飲み続けるようになります。

やがては一日中、脳から酒が抜けない状態になり、酒が切れると心理的には不安になってやめたくてもやめられません。身体症状としては酒をやめると手足が震えて、不眠・吐き気・発汗・幻覚・イライラ・不安感などの離脱症状と呼ばれるものが起きるようになります。

アルコール依存症者といえば男性をイメージしやすかったのですが、近年、女性の自立や社会進出を背景として女性の飲酒が増えて、それに伴って女性のアルコール依存症者が右肩上がりにに増えている状態です。

薬物依存症

覚せい剤やコカイン・大麻・シンナー・危険ドラッグに対する依存症です。10代の若者が仲間もやっているからと興味本位でシンナーや危険ドラッグに手を出すことが薬物依存症の入り口と言われています。

やがて覚醒剤に手を出していきます。覚醒剤には興奮や多幸感をもたらす効果があり最初は疲れが取れて爽快な気分になります。その反面効果が切れるとひどい倦怠感や抑うつ感・虚脱感が襲い、それから逃れようと使用を繰り返すよになります。

そのうちに使用量が増えるようになると幻覚や幻聴・妄想・情緒不安が起こるようになります。

若い人が薬物依存に陥る入口となるのが、シンナーやボンドなどの有機溶剤による依存です。遊びから興味本位入るのですが、その効果としては高揚感や酩酊感があり、幻覚・妄想に見舞われるようになります。

処方薬に対する依存症

薬物依存というと違法薬物の使用によるものが取り上げられますが、医師から処方される処方薬や市販薬の多剤服用による依存があります。

睡眠導入剤(睡眠薬)や抗不安薬など、長期にわたって連用していると薬を使わないと不安になってきます。

また米国で深刻な状況になっている医師の処方による鎮痛剤(オピオイド系鎮痛剤)には常習性が驚くほど高く、処方を守れないで(オピオイド系鎮痛剤中毒)となる薬物依存(鎮痛剤依存)などのケースがあります。

ニコチン依存症

タバコを吸う行為への精神的な依存と、ニコチンがによる身体的な依存があります。

タバコに含まれるニコチンは、喫煙後脳内に達すると大脳辺縁系に働いて、本人の状況に合わせてイライラの時には鎮静化させり鎮静化効果、沈滞時には興奮させるような興奮効果という全く正反対の効果を起こします。

そして、タバコをやめられなくなる理由があります。タバコを吸い続けると、脳にニコチン受容体ができます。そして、そのニコチン受容体とニコチンが結合すると快楽物質であるドーパミンを放出させるために、その快感を求めて、やめたくてもやめられない離脱症状が起こるために、なかなか禁煙ができません。

その他

コーヒー・紅茶・スイーツなどの嗜好品などに対する依存は、日常的にあったとしてもそれが依存であるという認識が本人にはないケースです。

行為・プロセスへの依存

行為・プロセス依存は一口で言うと「~している最中は幸せ」であり、その行為にのめり込んで、また繰り返して抜けられなくなる依存症です。

行為依存の筆頭となるのが、ギャンブル依存症です。ギャンブル依存症は医学上の診断名では「病的ギャンブリング」と言われ、世界保健機関(WHO)のICD-10では、「病的賭博」として「習慣および衝動の障害」とされており、アメリカ精神医学会のDSM-5では「非物質関連障害」の中に「ギャンブル障害」として加えられています。

ギャンブル依存症(パチンコ・スロット・競馬・競輪等)

摂食障害(過食・拒食)

リストカット(自傷行為)

買い物依存症

インターネット依存症(ゲーム・インターネット・パソコン)

仕事依存症(ワーカーホリック)

性依存症(痴漢・盗撮・わいせつ行為・下着泥棒等)

カルト集団(宗教)

ギャンブル依存症

パチンコ、競馬、競艇などの賭けごとや、投機的な金融商品にのめり込み、生活に影響が出ているのにやめることができない状態のことです。

ギャンブル依存症は勝った時の快感が忘れられなくなり、また負けたとしても「次は勝って取り戻そう」とし、勝っても負けても興奮してその行為自体に依存していくようになります。

そのために勉強や仕事が手につかなくなり、ギャンブルをするための借金を繰り返すようになるなど一定のパターンがあります。

摂食障害(過食・拒食)

食欲のコントロールが効かなくなり、短時間に発作的なむちゃ食いをする過食症(神経性大食)と内臓には障害がないのに食事を採れない、または食事制限などによって極端にやせてしまう拒食症(神経性無食欲症)に分かれます。

どちらか一方のケースと両者を移行し交互に起こる場合も多く、突然食欲が沸き、手当たり次第に口に入れても満腹感がなく食べることに疲れてやめると今度は自己嫌悪になります。そうすると食べた後に口に指を入れて吐いたり、嘔吐や下剤の乱用が伴う人もいます。

リストカット

摂食障害と共に10代から20代の若い女性に多いのがリストカット(手首自傷症候群)です。

カッターナイフで手首を切り、血を見た瞬間に我に返ってほっとする気分になることが、快感に結びついて繰り返すようになります。

自分自身に対して自己肯定感が低く、空虚な感じを抱えているために、それを埋るように「愛がほしい」「かまってほしい」「自分に関心を持ってほしい」という願望が強くなっています。対人関係が非常に不安定で見捨てられる不安感を持っているために衝動的にリストカットをします。

買い物依存症

買い物依存症は圧倒的に女性が多い依存症です。

心の空虚さを物で埋める、買うこと自体が快感となり、うつ気分や寂しさを買い物をする際のワクワクした気分で紛らわせることをきっかけとして、次第にその快感にはまっていく依存症です。

高価な買い物をクレジットカードなどで買い、支払い能力の限界を超えて買い物を続けるので最終的にカード破産をしてしまいます。

しかしそこまでして買った洋服などは実際に着るわけでもなく、包装紙のまま放置されているなど、使わないもの、必要のないものを次々に買って積み上げている状態です。このように実際に欲しいもの必要なものを買うというより、買い物という行為の最中に起きる快感を得るために買い物をし続けるのが買い物依存症の特徴です。

インターネット依存症

オンラインゲームにはまり込む10~20代の若者に多く、パソコンやスマホなどを通してインターネットやゲームに深夜までのめり込んで、リアルな人間との関係が築きにくくなる(対人障害)などが起きてきます

現実世界が面倒に感じられて生身の人間と会話が少なくなり、相手の顔が見れなくなったり言葉がでなくなることも起きてきます。

身体的にはドライアイや疲れ目になり、睡眠障害による昼夜逆転などの生活習慣、学生ならばひきこもりや不登校なども起こすようになります。

心理的には感情表現が乏しくなって人間関係の微妙な感情表現が読み取れなくなり、すぐにキレたりするようになります。

仕事依存症

仕事依存症は会社からの期待や要請に応えて昇進や周囲からの高い評価を望み、働き過ぎても疲れないのが特徴で、仕事をしていないと不安なので自分で仕事を増やしてしまいます。

長時間労働でも心理的には疲れを感じません。仕事が生きがいであり、残業時間が多いのも平気です。趣味はなく友人は仕事関係に限られており、家庭よりも職場の方が居心地が良く休むことに罪悪感を感じるために休養がとれません。

そうすると、家庭でのコミュニケーションが減り家庭不和になったり、不眠やストレスが重なって心臓に負担がかかり健康への影響が出て過労死を招く、またうつなどの心理的な影響も出てきます。

性依存症

性依存症の内容は、痴漢行為、盗撮、下着泥棒、少女に対するわいせつ行為などが挙げられます。

性依存症は自己コントロールがきかず、強迫的な性衝動を繰り返します。夫や息子が性犯罪で逮捕されたならば、家族は生き地獄であり、家族関係は崩壊し、経済的にも大きなダメージを受けます。

性依存症者は、女性の内面、感情に無関心で理解できず、内向的で人間関係もうまくいかないという特徴があります。チャンスがあれば何回でも繰り返したいと思い、被害女性に対する贖罪意識はありません。

カルト集団(宗教)

カルト集団に対する依存症というのは、反社会的暴力集団やカルト宗教などに属していることによる、それらの集団に対する依存です。

強力なマインドコントロールをされており、そこから抜けようとしても恐怖心が起きたり、強迫性障害のような症状がでて、抜けることができずに苦しむことになります。

宗教においては新興宗教に属していることによって、神仏からの罰にしての怖れによって縛られているケースがあります。詳しくは宗教依存症のページをご覧ください。

対人依存(夫婦・家族関係依存)

対人依存は、人に対する依存であり、あらゆる依存症の底辺にある病理と言われており、対人依存の原型は共依存です。対人依存は関係依存とも呼ばれ、ある一定の人との人間関係に強く依存することです。その対象は夫婦であれば夫や妻ですが、母子関係、恋人関係、また宗教団体における信者が教祖に対する関係なども関係依存と言えるでしょう。

共依存とは人に対して依存する人と、人から必要とされることに依存する人同士の組み合わせです。共依存症者は、自分が人生の主人公である自分の人生を生きるのではなく、他者の人生に入り込み、他者を「世話する」という形でコントロールし、自分自身の生きがいや生きる意義を見出します。

共依存(世話型依存)

家族依存症(ひきこもり・児童虐待・DV)

恋愛・セックス依存症

共依存(世話型依存)

「共依存」とはアルコール依存症の方の妻を支援する人たちが使い始めた言葉です。「アルコール依存や夫のDVに苦しみながらもひたすら尽くす妻」というパターンや、「母性愛が豊かで稼ぎのある妻と働かない夫」というパターン、また親子間では「教育ママと子供」との関係などが代表的です。

「母性愛が豊かで稼ぎのある妻と働かない夫」のパターンでは、妻がアルコール依存症の夫の世話を焼き、尻ぬぐいをすればするほど、夫は責任を取らず飲酒をやめないために、妻は怒りや悲しみと共に途方にくれながらも、世話を続けることに自分自身の居場所や存在価値を感じてしまいます。世話を焼いてもらいたい夫と世話をやくことで安心できる妻という関係においては、お互いに相手にすがりついた生活を送っています。

また、「教育ママとその子供」のパターンにおいては、教育熱心で面倒見が良い母親が世話型依存であるケースがあります。子供はいつまでも母親からの手助けが必要で努力をしようとせず、母親との関係が崩れないように神経を使うことで、主体的に生きることができなくなります。何も自分で決めることができず、また努力や忍耐する力が育っていなので、人生を切り開く力がありません。母親としては子供が自立したら生きがいがなくなるので、むしろ頼りにされていることで安心を得られるのです。

家族依存症(ひきこもり)

子供が親に依存し、親が子供に依存するという相互に依存し合う関係の共依存ですが、母親が過保護、過干渉で愛情によって支配的になった結果、思春期の子供の自立への欲求が逆に抑え込まれて家庭内暴力をするようになります。

引きこもりの始まりの時期は10代半ばからですが、20代の社会人になってからという場合もあり、その後長期間にわたり引きこもるケースもあります。

引きこもりの人達は大人になることを回避したり、人生の巣立ちの時期のつまずきなどによって、社会に旅立つ力を失ってしまった状態だといえます。

恋愛・セックス依存症

性的な衝動が抑えられずに、簡単に誰とでもセックスしてしまい、その後は罪悪感や自己嫌悪に陥るのですが、それでもそのようなセックスを何度も繰り返してしまいます。

心が満たされないで寂しく「誰かにそばにいて欲しい」「愛して欲しい」と異性関係を求めて抑制がきかなくなります。脳機能的には、人間は恋をするとドーパミン神経を刺激するPEA(フェニルエタノールアミン)という脳内麻薬のようなものが分泌されます。

それと共に快感を体験するとPEA受容体が破壊されてドーパミン神経の反応が弱ります。するとセックスでの快楽が弱くなり、より過激な世界にはまってしまいます。ドーパミンの機能不全によって日常の安らぎや癒しなども感じられなくなって、繰り返すほどに心に大きな穴があくような苦しい毎日を過ごすようになります。

 

(このサイトの宗教依存に関する理論はRCラボオリジナルです。文章は著作権法で保護されており、無断転載・流用等を禁じます)

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